第1節 計画策定の趣旨と背景
1.計画策定の背景
わが国では1970年以降、経済的・物質的豊かさの増大、国際化、情報化、高齢化そして少子化……と、社会情勢が年々大きく変化しており、特に、1990年代初めのバブル崩壊以後、長期低迷が続き、昨今の経済情勢は一段と厳しさが増してきた。しかも政治の混迷が経済の立ち直りを遅らせているかのようである。
そして日本経済不況とともにアジアも同様の不況に見舞われており、この長い不況トンネルからの脱出がいつの日か、未だに不透明で容易に光明の見えてこない現状は、全スポーツ競技の進展に大きく立ちはだかり、暗い影を落としている。
特にわが卓球界にとっては、この経済不況によって多くの企業の卓球部がリストラの対象となり、その存続すら危うくしている。また社会全体の失業率のアップは、レディース卓球をはじめ、マスターズ卓球あるいはジュニア層を含むすべての活動に大きく影響を与えつつある。
このように卓球界を取り巻く環境は、更に悪化傾向にある、と現状分析をせざるを得ない。
こうした背景の中、昨'98年のアジア選手権大阪大会、そしてアジア競技大会,'99年度第45回世界選手権オランダ(団体)・マレーシア(個人)大会、さらに2000年シドニーオリンピック、2001年開催の第46回世界選手権大阪大会ほか、毎年実施してきた国際卓球連盟プロツアー(世界ランキング対象大会)のジャパンオープン等々、本会が数年前より対策を進めてきた諸事業は、先行き不透明な現状では、今一度対策を練り直さなければならなくなった。今後の本会運営は、多くの卓球人の英知を結集しながら施策を講じなければならないと考える。
現状を預かるわれわれ執行部としては、過去多くの先輩が成し遂げた偉大な栄光に、一歩でも近づく努力が必要である。現在の世界のレベルを考える時、トップの選手を生み出すのは非常に苦難の道程かもしれないが、“ネバーギブアップ”の精神で邁進しなければならないと思う。
ここ数年、石川六郎前会長の指導によって本会は健全財政を確立し、多くの懸案事項を解決し、順調な歩みを続けている。しかし、前述のごとく何が起こるやもしれない状況では、飯田 亮新会長のもと、どのような局面にも常に対処・対応できる体制を整えておかなければならない。 そのために、現執行部としては厳しい社会情勢を認識し、各都道府県協会(連盟)および傘下の団体とも、常に密接な連携を保ちながら、また、相変わらずのご支援・ご協力を得ながら、協会運営に万全を期さなければならない。
2.計画策定の趣旨および位置づけ
近年のスポーツ環境の変化を的確に捉え、21世紀を展望した卓球競技振興の基本的目標や、世界に目を向けた強化対策並びに国内の普及対策の2本柱の方向性を明らかにするため、より長期間を見据えた財団法人日本卓球協会のマスタープランを策定することとした。
この計画は、文部省の保健体育審議会、日本オリンピック委員会(JOC)、日本体育協会の指針にのっとり、生涯スポーツ推進および世界を展望した競技力向上への基本構想を十分理解した上で作成し、着実に実行されなければならない。
また本会は今後、身体に障害を持つ多くの卓球愛好者の活動にも支援をしていかなければならない。
そしてこの計画を推進していく過程で、バンビ・カブ・ホープス・カデット・ジュニア・ユース・一般・マスターズ・レディースなどの各層を通じ、日常の卓球に親しむことによって心身ともに健全な歩みを続けられるよう、生涯に亘って様々な形で関与しつつ、協会としての発展も図っていかなければならない。
3.計画の期間
本計画の目標年次は、とりあえず21世紀初頭の2010年に設定する。従って、1999年(平成11年)から2010年(平成22年)までの11年間とする。
4.計画の基本指標
この計画では、現在の社会情勢を踏まえて、努力目標登録者(会員)を25万人と設定する。
1)過去数年間の登録者数の推移と2010年の推定
1993年=227,250人
1994年=242,592人
1995年=254,739人
1996年=254,444人
1997年=250,785人
1998年=247,835人(平成11年3月末実績)
2010年=250,000人
2)過去数年間の各層別登録者数比率(%)と2010年の推定
93年 94年 95年 96年 97年 98年 2010年予測
小学男 2.55% 2.29% 2.40% 2.18% 2,37% 2,00%
4.64%
女 2.43% 2.36% 2.39% 2.39% 2,49% 2,10%
中学男 28.36% 28.56% 28.84% 29.21% 29,59% 28,00%
45.48%
女 17.89% 20.13% 20.29% 20.23% 20,17% 18,00%
高校男 19.39% 18.23% 17.52% 17.16% 16,99% 15,00%
30.18%
女 9.93% 9.70% 9.20% 8.67% 8,09% 6,00%
大学男 1.64% 1.57% 1.58% 1.56% 1,62% 3,00%
2.60%
女 0.72% 0.67% 0.63% 0.61% 0,59% 1,00%
一般男 9.53% 9.06% 9.40% 9.94% 9,87% 11,00%
17.10%
女 7.57% 7.43% 7.75% 8.04% 8,23% 13,90%
第2節 基本目標
活力ある振興策の実現
財団法人日本卓球協会として将来世界のトップを目指すには、現在持ち得る高度な卓球技術と情報を駆使して、各界・各層の英知と支援を得てスポーツ先進国にあやかり、現在極めて不足している精神面と体力面の充実が計られるならば、世界に伍して闘えると考える。 特にこれまでの学校体育依存型では基礎体力の減退現象を止めることはできないようだ。これは全国多くの小中学校の体力測定データが物語っている。本会としては、学校体育活動を側面的に援助しながらも、社会体育の分野に注力し、トータル的に若年層の基礎体力増強に寄与しなければならないと考える。 一方、卓球というスポーツがいかに生涯スポーツとして秀でているかの情報提供も必要であり、いかに魅力あるスポーツであるかをPRすることにも、深く思いをはせる必要がある。 同時に、本会がこれまで培ってきた国際交流機能を発揮し、マスコミを含めた多くの日本国民に“スポーツ卓球”存在の理解と新たな認識を深めることも、重要な課題と考える。
これらは偏に、われわれ執行部が心機一転、いかに活発に活動するかにかかっていることである。そのためには、その実現に向かって、なお一層活力あふれる競技団体としなければならず、卓球日本復活並びに世界に誇れる競技・スポーツ卓球確立を、われわれの努力目標としたい。
第3節 基本方針の柱
前述の基本目標達成のため施策展開として、次のとおりの柱を掲げる。
1.事業運営の安定化
1)大会開催地および日程の早期確定
2)主管協会(連盟)との協調
3)大会の合理化
2.世界で活躍し得る選手の育成強化
1)競技力向上システムの確立
2)NT活動とジュニア活動の推進
3)国際大会への参加と交流
4)スポーツ医・科学の導入(一流プレーに耐え得る体力作り)
5)ドーピング問題への対応
6)顕彰制度の充実
3.普及活動の推進
1)生涯スポーツとしての役割
2)競技スポーツへの展開
3)未登録愛好者へのアプローチ
4)卓球公認工業会との連携強化
5)障害者卓球への支援
4.指導者の育成
1)現コーチャーの活用及び独自のコーチャー制度の確立
2)地域指導者(クラブ指導者を含む)の育成と支援
3)指導者に対する支援及び顕彰
5.健康・体力作りの推進
1)スポーツ医・科学委員会の活動推進
2)各階層への健康・体力作り相談
3)競技中の事故と見舞制度
6.情報化活動の推進
1)加盟団体への対応
2)マスメディアへの対応と新たな推進対策
3)インターネットへの取り組み
7.健全財政の確立
1)事業計画の合理化
2)スポンサード活動の推進
3)経費の節約
4)登録料・参加料の問題
8.組織力の強化
1)事務局体制の強化
2)専門本部・委員会の活性化 |