I 卓球選手のスポーツビジョン能力

II スマッシュ時のラケット スピードとボール飛距離

III 1993年度強化指定選手の基礎体力

 

報告者

 

研究責任者

 

研究班員

  • 蛭田秀一 (名古屋大学総合保健体育科学センター)
  • 吉田和人 (静岡大学)
  • 牛山幸彦 (新潟大学)
  • 葛西順一 (早稲田大学人間科学部)
  • 志田幸久 (公立紀南病院)
  • 島岡みどり(名古屋大学総合保健体育科学センター)
  • 飯本雄二 (中京女子大学)
  • 西嶋洋子 (明治生命厚生事業団体力医学研究所)
  • 鈴山健一郎(中京大学)
  • 竹内敏子 (中京大学)
  • 浜田美穂 (土佐女子高校)
  • 渡辺雅之 (東京学芸大学)
  • 松尾彰文 (東京大学教養学部)
  • 村上博巳 (京都産業大学)
  • 白山正人 (東京大学教育学部)
  • 小林一敏 (岡山大学)
  • 加賀勝  (岡山大学)
  • 吉松俊一 (更埴中央病院)
  • 矢作栄三 (矢作病院)
  • 松尾史郎 (東芝林間病院)
  • 岡沢祥訓 (奈良教育大学)
  • 柴田幸男 (東北福祉大学)
  • 増田洋  (嵯峨美術短期大学)
  • 田阪登起夫(同志社大学)
  • 高島規郎 (近畿大学教養部)
  • 高見京太 (中京大学)
  • 小田健司 (千葉大学医学部)
  • 北原隆史 (東京教育専門学校)
  • 安藤真太郎(筑波大学)

 

研究協力者

  • 今井勝義 (長野県木曽郡楢川村教育委員会)
  • 安藤祥司 (長野県木曽郡楢川村教育委員会)
  • 近藤静香 (長野県木曽郡楢川村教育委員会)
  • 嶋村明彦 (長野県木曽郡楢川村教育委員会)
  • 宮原勝広 (長野県木曽郡楢川村教育委員会)
  • 山崎元  (慶応義塾大学スポーツ医学研究センター)
  • 大西祥平 (慶応義塾大学スポーツ医学研究センター)
  • 勝川史憲 (慶応義塾大学スポーツ医学研究センター)
  • 鈴木美貴 (慶応義塾大学スポーツ医学研究センター)
  • 大林千代美(慶応義塾大学スポーツ医学研究センター)
  • 斎藤尚美 (慶応義塾大学スポーツ医学研究センター)
  • 沢井史穂 (慶応義塾大学体育研究所)
  • 瀬尾則夫 (愛知県大府市卓球協会)
  • 真下一策 (井上病院)
  • 遠藤文夫 ((株)東京メガネ)
  • 石垣尚男 (愛知工業大学)
  • 岡村香  (中京女子大学卓球部)
  • 近藤紀子 (中京女子大学卓球部)
  • 坂本香苗 (中京女子大学卓球部)
  • 桧垣里菜 (中京女子大学卓球部)
  • 村上桂子 (中京女子大学卓球部)
  • 宇佐見美保(中京女子大学卓球部)
  • 平尾ひみ子(中京女子大学卓球部)
  • 吉川史子 (中京女子大学卓球部)
  • 岩田佳奈子(中京女子大学)
  • 河野純子 (中京女子大学)
  • 前村史  (中京女子大学)
  • 金谷志織 (中京女子大学)
  • 西村栄美 (中京女子大学)
  • 松島和美 (中京女子大学)
  • 小池香代 (中京女子大学)
  • 福司香織 (中京女子大学)
  • 渡辺敏子 (中京女子大学)
  • 尾藤摩里 (中京女子大学)
  • 木場美佐代(中京女子大学)
  • 長野県木曽郡楢川村教育委員会
  • 慶応義塾大学スポーツ医学研究センター
  • (株)東京メガネ
  • 愛知県大府市卓球協会
  • 中京女子大学卓球部

 

I 卓球強化選手のスポーツビジョン能力

真下一策,石垣尚男,遠藤文夫

 

1 目的

卓球は,連続する非常に速いラリーのなかで,多様な球種にたいして敏速かつ的確な対応が求められる競技である。このため,いわゆる眼が良いことは卓球選手に求められる能力の1つである。しかし,卓球に求められる眼は単に視力の良さのみでなく,動体の素早い把捉や,瞬時の知覚能力,距離感覚といった,いわゆる視る能力の視点からとらえるべきものである。

これまで卓球選手をこの視点から調査した研究はない。この調査は,「視る能力」をスポーツビジョンと仮称し,他競技との比較によって卓球強化選手のスポーツビジョン能力の特性を明らかにするものである。

 

2 方法

被験者:平均年齢19.1才の卓球強化選手19名。男子8名,女子11名であった。

測定場所:東京メガネスポーツビジョンセンター

測定項目:以下の機能について測定した。

  1. 屈折検査 オートレフラクトメーター
  2. 視力測定 ホロプター
  3. スポーツビジョン能力

以下の8機能を測定した。

  1. 静止視力
  2. 動体視力(KVA):眼前に直進する対象を明視する視力(動体視力計As-4A)
  3. 動体視力(DVA):水平に移動する視標をすばやく識別する能力(自作,動体視力計)
  4. コントラスト感度:微妙な明暗を識別する視力(VCTSコントラスト感度表)
  5. ランダムテスト:眼球運動の敏捷性と,瞬時の判断能力の的確性(自作ソフトを使用)
  6. 深視力:微妙な距離の差異の識別力(三稈計)
  7. 瞬間視:瞬間的な知覚能力(タキストスコープ)
  8. 眼と手の協応動作(Acu‐vision.1000)

測定結果は,これまで東京メガネスポーツビジョンセンターで測定したスポーツ選手の結果を基準とした5段階評価で判定した。上記8項目の詳しい測定方法,及び,相対評価の基準は文献1)を参照のこと。

 

3 結果と考察

表I-1は,卓球強化選手の視力値とスポーツビジョン得点である。視力は対象をいかにシャープに識別できるかという形態覚である。ボールゲームスポーツでは基本となる視機能で,特に卓球のようにボールが小さく,かつ動きが速い場合には,視力の低い選手はプレーに大さな影響が出る。ほぼ全員,両眼視力は1.0以上あり,かつ,両眼の視力に大きな差がないので持に問題はないが,一部,矯正不足の選手があった。矯正不足の場合,照度が不足する室内ではボールが見にくくなるおそれがあるので的確な矯正が望まれる。

 

表I-1 卓球選手のスポーツビジョン得点

  視力値 静止

視力

動体視力 コントラ

スト感度

ランダム

テスト

深視力 瞬間視 眼と手

の協応

合計点
  被験者 年齢 矯正 両眼 右眼 左眼 KVA DVA
1 O.K. F 17 N 1.5 1.5 1.5 4 4 5 3 4 5 5 2 32
2 M.S. F 17 N 1.2 1.2 1.2 4 5 5 4 2 5 4 3 32
3 S.H. M 26 N 1.5 1.2 1.5 5 4 4 4 3 3 4 4 31
4 Y.R. M 17 N 1.5 1.2 1.2 5 4 5 5 2 3 4 3 31
5 N.K. M 18 N 1.5 1.2 1.2 4 3 4 3 5 4 3 4 30
6 O.S. F 17 CL 2.0 1.2 1.5 4 3 5 4 3 2 4 3 28
7 T.T. M 19 N 1.5 1.2 1.5 4 2 4 3 5 2 3 5 28
8 K.F. F 17 CL 1.5 1.2 1.2 4 3 5 5 5 2 3 1 28
9 M.H. M 17 N 1.5 1.2 1.2 4 3 3 4 5 4 2 3 28
10 N.Y. F 18 N 1.2 1.2 1.2 3 5 4 3 4 4 2 3 28
11 M.H. M 20 N 1.2 1.2 1.2 4 3 5 3 3 5 1 4 28
12 S.A. F 18 CL 1.2 1.2 0.9 5 4 4 3 5 1 3 1 26
13 K.F. F 26 N 1.5 1.2 1.2 4 3 5 3 3 3 4 1 26
14 S.K. F 22 N 1.5 0.8 1.5 3 3 5 4 2 1 4 2 24
15 Y.T. F 17 N 1.2 1.2 1.2 3 4 5 4 4 1 2 1 24
16 I.I. M 19 GL 1.2 1.2 0.8 4 3 4 2 2 3 4 1 23
17 K.M. F 14 N 1.0 0.9 0.9 2 2 4 2 3 5 2 3 20
18 U.R. F 17 GL 0.9 0.8 0.8 3 1 5 2 2 1 4 2 20
19 M.K. M 26 CL 1.2 0.9 1.0 2 1 2 2 1 3 5 2 18
  平均 1.36 1.14 1.19 3.74 3.16 4.37 3.32 3.32 3.00 3.32 2.53 26.7
標準偏差 0.24 0.17 0.23 0.85 1.09 0.81 0.92 1.26 1.14 1.08 1.19 3.82

CLはコンタクトレンズ,GLは眼鏡による矯正。いずれも矯正視力である。

 

5段階で評価した合計点は32〜18点に分布していた。ボールゲームスポーツの場合,個々の視機能が単独で入力するのではなく,統合的,連続的に入力し,それにもとづき出力としてのスキルが発揮されると考えられる。このような視覚機能は,個々に測定したそれを総合すれば表せるようなものではないが,適切な検査方法がない現状では,スポーツビジョン能力の評価として8項目の合計が「視る能力」の評価尺度となる。

評価として合計点が高い選手で,かつ,各項目のバランスがとれており,特に低い項目がない選手は,スポーツビジョン能力に優れているとみなすことができる。この調査から得られたスポーツビジョン能力と卓球競技力の関係を明らかにする資料はないが有意な関係があると思われる。今後の研究課題としたい。

表I-2はこれまで東京メガネスポーツビジョンセンターで測定したボールゲームスポーツの中から,レベル的に同じとみなされる主要な競技種目を卓球強化選手と比較したものである。

 

表I-2 卓球選手のスポーツビジョン能力の他競技との比較

測定項目

競技種目

静止視力 動体視力 コントラ

スト感度

ランダム

テスト

深視力 瞬間視 眼と手

の協応

被験者数
KVA DVA
卓球選手 3.7 3.2 4.4 3.3 3.3 3.0 3.3 2.5 19
プロ野球選手 3.5 3.9       3.5 3.0 3.7 32
野球選手(ノンプロ) 3.7 4.1 4.1   3.6 2.5   2.8 21
野球選手(ノンプロ) 3.4 3.0 3.6 4.5 3.3 2.1 2.9 3.2 31
野球選手(ノンプロ) 2.9     3.3   3.5 3.0 3.5 35
大学テニス選手(男子) 3.5 3.0 3.9   3.8 2.6 2.6 2.6 36
大学テニス選手(女子) 3.2 3.0 3.5   3.4 2.6 2.8 2.2 26
バレーボール日本リーグ(女子) 3.8 3.8 2.7 4.0 2.8 2.9 3.1 4.6 25
プロサッカー選手   3.0   3.4   2.6 3.2   24
バスケット日本リーグ(男子)   2.8       2.3 2.6 3.7 11
大学バスケット(男子)   3.2   3.6   2.5 2.2 3.8 17
大学バスケット(男子)   2.9   3.6   3.2 3.0 3.8 9
大学バスケット(女子) 3.3 2.7 2.9 4.4 2.8 2.5 3.2 2.5 49
平均 3.11 3.21 3.59 3.34 3.28 2.75 2.91 3.23  
標準偏差 1.07 0.44 0.56 1.26 0.36 0.42 0.30 0.71  

 

表I-2から明らかなように,卓球強化選手の特徴は,DVAの動体視力が非常に優れ,眼と手の協応動作がかなり劣っており,他の機能は平均的であることである。この結果は卓球の競技特性をよく表している。

DVAは水平に高速で動く対象を素早く識別する能力である。卓球は非常に速いラリーの連続であり,この間,ボールを追跡し続ける。このため高速で動くものに対する識別力が他のスポーツ選手と比較して格段に発達するのではないかと考えられる。

また,眼と手の協応動作は,視野全体に注意を配分し,視野周辺に出現する視標に両手で素早く対応する能力である。卓球の競技特性からみてこのような動作は全くなく,この得点が低いことは首肯される。

以上から,DVAが優れていることが卓球選手に必要な視覚特性ということができ,スポーツビジョン能力の中の有力な基準となろう。

 

参考文献

1)石垣尚男:トップレベルのスポーツ選手の視覚機能と競技力の関係 愛知工業大学紀要 No.27,1992


 

II スマッシュ時のラケットスピードとボール飛距離

蛭田秀一,吉田和人,飯本雄二,島岡みどり,鈴山健一郎,竹内敏子,油座信男

 

1 研究の背景

卓球競技において,自分のラケットスピードの最大値を知り,それをより高めていくことは,競技力向上のために必要な条件のひとつである。しかし,秒速十数mものラケットの速さを測定するためには,高速度撮影などの特殊な方法を用いなければならず,練習現場で日常的にラケットの速さを測定し評価することは困難である。そこで,ボールの飛距離を測定することによって,ラケットの速さを推定できないかと考え,両変数の関係を調べた。

 

2 対象者および測定内容

  1. 対象者:8〜22歳の卓球選手47人(男子18人,女子29人)
  2. 試技の方法:対象選手に卓球台(高さ76cm)のエンドライン後立に立たせ,卓球台のコーナーの鉛直上方1.95mから落下し台上でワンバウントしたボールを自分のラケットを用いて,最大努力で対角線方向にスマッシュさせた。試技の回数は10回とした。
  3. ラケットスピード:打球前後のラケットの動さを記録するために,上記の対角線に対して直角方向に9.7m離れた地点からハイスピードビデオカメラ(ナック社製,HSV1000(500コマ/秒;8月12日使用),HSV400(400コマ/秒;8月28日使用))で打球地点を撮影した。打球時点を挟んだ前後1コマにそれぞれ録画されたラケット外縁のマークの画面上の位置変化を,予め録画しておいたキャリブレーション用スケールによって較正し,ラケットスピードを算出した。
  4. ボール飛距離:打球地点と打球後のボール落下点(床面)との水平距離を測定した。
  5. 測定日・場所:測定は,1993年8月12・28日に中京女子大学において実施した。

 

3 測定結果

表II-1は,各選手について,スマッシュ打球時のラケットスピード(最大値)とボール飛距離(最大値)の結果を示したものである。

 

表II-1 スマッシュ打球時のラケットスピードと飛距離

男子・フォアハンド

順位 氏名 年齢 実施日 ラケットスピード

秒速(m)

最長飛距離

(m)

成功率

(10試行中)

1 山口晃司 19 a 22 10.9 70%
2 矢崎伸治 15 a 21 10.6 80%
  高橋正記 15 a 21 11.3 70%
4 本多輝行 19 a 20 10.8 100%
  村上竜 14 b 20 10.5 100%
  山本和也 19 a 20 10.9 80%
7 志村仁 16 a 19 10.2 100%
  柳田敏則 11 b 19 9.9 90%
  石田大輔 13 b 19 9.6 90%
  田中竜平 16 a 19 10.5 90%
11 橋本崇一 13 b 18 10.2 90%
  伊藤哲史 15 a 18 10.0 100%
13 野口義和 12 b 16 8.6 80%
  熊田智幸 12 b 16 10.5 100%
  薮崎昌広 13 b 16 9.4 80%
16 山田悟 14 b 15 9.1 60%
  藤沼重人 13 b 15 9.8 90%
18 藤井健太郎 8 b 14 7.6 50%
             
  平均     18.3 10.0 84.4%
  標準偏差     2.2 0.9 14.6%

 

男子・バックハンド

順位 氏名 実施日 ラケットスピード

秒速(m)

最長飛距離

(m)

成功率

(10試行中)

1 高橋正紀 a 23 9.9 60%
2 矢崎伸治 a 21 10.2 70%
3 山口晃司 a 20 9.9 50%
  橋本崇一 b 20 8.5 60%
5 田中竜平 a 19 9.5 70%
  村上竜 b 19 9.3 80%
  石田大輔 b 19 9.0 90%
  熊田智幸 b 19 9.0 50%
9 山田悟 b 18 9.0 60%
  本多輝行 a 18 9.0 80%
11 志村仁 a 17 8.8 80%
  藤沼重人 b 17 8.2 60%
  山本和也 a 17 8.9 70%
14 伊藤哲史 a 16 7.9 60%
  柳田敏則 b 16 8.5 60%
16 野口義和 b 14 7.9 80%
  藤井健太郎 b 14 7.5 30%
18 薮崎昌広 b 13 7.7 90%
           
  平均   17.7 8.8 66.7%
  標準偏差   2.7 0.8 15.3%

 

女子・フォアハンド

順位 氏名 年齢 実施日 ラケットスピード

秒速(m)

最長飛距離

(m)

成功率

(10試行中)

1 吉村広子 17 a 21 9.3 70%
  笹森美千代 19 a 21 9.9 100%
3 今坂亮子 15 a 20 9.4 80%
  高橋啓子 18 b 20 10.1 90%
5 伊藤京子 16 a 19 9.4 80%
  山田眞由美 16 a 19 9.1 80%
  今井美恵 22 a 19 9.6 90%
  梅村礼 16 b 19 10.1 90%
  吉田静子 21 b 19 9.5 90%
  近藤広美 17 a 19 8.6 60%
11 三宅芳枝 16 a 18 9.1 70%
  金田朱美 15 a 18 8.9 90%
  越智亜也 18 a 18 9.0 80%
  伊東真弓 16 a 18 9.6 90%
15 西川智子 13 b 17 9.2 80%
16 松岡順子 15 b 16 9.0 90%
  永瀬順子 17 a 16 9.3 90%
  永田みちる 15 b 16 8.5 100%
  斎藤香奈子 13 b 16 9.3 90%
  橋本ゆかり 10 b 16 8.8 100%
  村松路子 13 b 16 8.6 90%
  佐藤麻衣 13 b 16 9.0 100%
  清水朋美 13 b 16 8.5 100%
  高橋美貴江 13 b 16 8.8 80%
25 堀谷梨恵 14 b 15 8.7 100%
  四元静香 17 a 15 8.1 100%
27 涌井教江 12 b 14 8.1 90%
  藤井寛子 10 b 14 8.2 60%
  秋山敏美 13 b 14 7.7 60%
             
  平均     17.2 9.0 85.9%
  標準偏差     2.1 0.6 12.4%

 

女子・バックハンド

順位 氏名 実施日 ラケットスピード

秒速(m)

最長飛距離

(m)

成功率

(10試行中)

1 今坂亮子 a 20 9.1 50%
  笹森美千代 a 20 9.0 60%
  今井美恵 a 20 9.5 50%
4 梅村礼 b 19 9.0 70%
  高橋啓子 b 19 9.0 70%
6 越智亜也 a 18 8.7 50%
  四元静香 a 18 8.0 80%
  永瀬順子 a 18 8.4 90%
  山田眞由美 a 18 8.8 70%
  金田朱美 a 18 8.4 70%
11 近藤広美 a 17 8.5 90%
  吉田静子 b 17 8.9 80%
13 佐藤麻衣 b 16 8.1 80%
  吉村広子 a 16 8.1 70%
  伊東真弓 a 16 8.5 60%
  藤井寛子 b 16 8.5 70%
17 伊藤京子 a 15 7.9 70%
  三宅芳枝 a 15 8.4 60%
  斎藤香奈子 b 15 8.0 80%
20 高橋美貴江 b 14 7.8 60%
  西川智子 b 14 8.0 60%
  村松路子 b 14 7.5 90%
23 堀谷梨恵 b 13 7.4 80%
  橋本ゆかり b 13 7.0 70%
25 涌井教江 b 12 7.3 60%
  永田みちる b 12 7.1 40%
  松岡順子 b 12 7.1 80%
28 清水朋美 b 11 7.4 70%
29 秋山敏美 b 6 6.4 60%
           
  平均   15.6 8.1 68.6%
  標準偏差   3.2 0.8 12.7%

実施日a=93/8/12,b=93/8/28

 

ラケットスピードは男子のファアハンドで秒速14〜22m,バックハンドで秒速13〜23mの範囲であった。女子のラケットスピードは,フォアハンドで秒速14〜21m,バックハンドで秒速6〜20mの範囲であった。各選手のスマッシュボールの最長飛距離は,男子のフォアハンドで7.6〜11.3m,バックハンドで7.5〜10.2mの範囲であった。女子の各選手の最長飛距離は7.7〜10.1m,バツクハンドで6.4〜9.5mの範囲であった。

図II-1は,男女別,フォア・バック別のラケットスピード(最大値)とボール飛距離(最大値)の関係を示したものである。どの図も右上がりの直線関係を示しており,相関係数(0.788〜0.919)の高さから,両変数間の有意で強い相関関係が示された。これらの結果から,飛距離の最大値をラケットの振りの速さの能力指標として用いることができると考えられた。

 

図II-1 スマッシュ時のラケットスピード(最大値)とボール飛距離(最大値)の関係

 

男子・フォアハンド (n=18)

 

男子・バックハンド (n=18)

 

女子・フォアハンド (n=29)

 

女子・バックハンド (N=29)

 

図II-1の回帰式を用いて,飛距離からラケットスピードを推定し一覧表にしたものが表II-2である。表II-2において,同じ飛距離でも男女間やフォアハンド・バックハンド間でラケットスピードが異なるのは,打球点の高さ,打球時のラケット面の向き,ラケットスウィングの方向,ラバーの反発特性,ラケット重量などの違いが影響しているものと考えられる。今後は,これらの要因の影響を補正することによって,より正確に飛距離からラケットスピードを推定することが課題である。

 

表II-2 スマッシュ時のボール飛距離(m)からのラケットスピード(m/秒)の推定

 

飛距離 ラケットスピード (m/秒)
男子 女子
F B F B
7.0       10.9
7.5   12.8   13.0
8.0   14.7   15.1
8.5   16.6 15.0 17.2
9.0 14.9 18.5 17.2 19.4
9.5 16.6 20.3 19.4  
10.0 18.2 22.2 21.7  
10.5 19.8      
11.0 21.4      
10cm増につき 0.32増 0.37増 0.44増 0.42増

F=フォアハンド,B=バックハンド


 

III 1993年度強化指定選手の基礎体力

蛭田秀一,島岡みどり,西嶋洋子,渡辺雅之,油座信男

 

1 研究の意義

卓球競技において,ゲーム中,高度でしかも多様な技術を発揮し続けるためには,いわゆる基礎体力(筋力・筋パワー,全身持久力,柔軟性)が優れていることが必須条件である。したがって,強化指定選手(以下,強化選手と記す)の基礎体力を測定し,その結果を過去の測定値と比較することは,選手や指導者に対して,今後のトレーニング計画を立案する上で重要な資料を提供する。

 

2 対象者およぴ測定内容

  1. 対象者:1993年度強化指定選手12名(男子6名,女子6名)。
  2. 形態計測および体力測定:体協が指定した形態および体力に関する共通必須項目。
  3. 最大酸素摂取量は,トレッドミル走による漸増負荷法から求めた。
  4. 体脂肪率は,皮下脂肪厚から計算で(長嶺と鈴木の式(1963),ブロゼックらの式(1963)による)推定値を求めた。
  5. 測定日・場所:測定は,1994年1月13・14日に慶応義塾大学スポーツ医学研究センターにおいて実施した。

 

3 測定結果

表III-1に各選手の測定結果を示した。

 

表III-1 1993年度強化指定選手の形態・体力測定結果

選択項目   男子 女子
氏名 渋谷浩 松下浩二 仲村錦治郎 田崎俊雄 今枝一郎 村上裕和 海津富美代 佐藤利香 西飯由香 大柿柴保 河野文江 梅村礼
年齢 26 26 18 19 19 17 26 22 18 17 17 17
[形態項目]   単位                        
身長   cm 171.9 170.9 173.4 166.7 174.2 173.0 153.7 154.5 165.6 155.1 163.0 168.0
体重   kg 72.2 59.5 69.2 57.1 63.5 56.5 49.0 45.5 56.2 54.1 60.0 59.0
指極   cm 173.5 175.5 183.5 162.5 177.0 170.5 150.0 154.5 165.0 154.0 161.0 171.5
上肢長 <右> cm 73.2 74.0 77.6 70.4 74.1 73.6 64.5 64.9 70.9 65.7 68.6 73.6
<左> cm 72.3 75..4 76.8 69.1 73.7 73.0 64.3 64.7 70.2 65.2 68.5 72.0
前腕長+手長 <右> cm 42.5 44.2 46.4 41.2 43.4 42.7 37.5 38.2 41.6 38.1 39.8 4202
<左> cm 41.6 43.3 45.9 40.5 43.7 42.6 36.2 38.2 40.2 37.8 39.8 41.6
前腕長 <右> cm 21.9 24.6 25.7 22.5 24.0 23.2 20.9 21.5 23.3 20.4 21.5 23.0
<左> cm 21.2 23.6 24.7 21.9 24.4 23.2 19.8 21.1 22.6 19.8 21.5 23.0
下肢長 <右> cm 84.2 85.4 86.7 80.9 88.1 87.2 73.8 76.7 86.4 81.7 83.6 88.0
<左> cm 84.7 85.5 86.3 81.2 86.7 87.1 73.9 76.5 84.1 81.1 83.0 87.1
下腿長+足高 <右> cm 46.9 47.3 46.5 45.0 45.4 45.1 39.8 40.2 47.1 42.3 42.1 45.9
<左> cm 46.4 47.0 47.1 45.0 46.1 45.5 38.8 40.4 45.7 42.4 42.4 46.8
足高 <右> cm 7.1 6.8 6.2 6.4 6.4 6.7 6.0 5.7 6.5 6.6 5.8 7.6
<左> cm 7.1 6.8 6.7 6.4 6.2 6.6 5.6 5.7 5.9 6.6 5.9 7.3
胸囲   cm 89.6 85.0 92.3 63.2 90.5 81.5 78.6 78.4 84.0 84.4 53.6 83.1
上腕囲(伸展) <右> cm 27.0 24.7 28.0 24.5 25.8 23.5 25.1 22.4 23.8 24.3 24.5 25.6
<左> cm 24.3 23.1 26.4 23.0 22.6 23.1 22.0 20.7 22.7 22.6 25.5 23.8
上腕囲(屈曲) <右> cm 32.5 30.7 32.5 29.5 30.0 28.6 26.3 25.5 27.3 28.5 27.5 29.3
<左> cm 28.3 27.3 31.1 26.9 26.0 26.0 24.5 22.5 25.0 26.4 28.2 26.5
前腕囲 <右> cm 26.2 25.0 25.6 24.6 25.4 23.2 20.8 21.0 23.6 23.6 21.8 23.8
<左> cm 24.0 22.9 24.4 23.0 23.5 21.6 19.1 20.9 21.4 22.0 22.6 21.9
大腿囲 <右> cm 57.7 50.9 53.8 50.6 49.9 48.0 50.8 49.2 54.0 52.3 51.5 53.4
<左> cm 57.2 49.6 54.5 50.4 50.0 48.0 49.7 49.3 53.2 52.7 52.8 53.4
下腿囲 <右> cm 38.4 37.5 37.0 34.0 35.2 32.0 32.7 31.4 34.9 36.6 35.8 36.5
<左> cm 38.5 37.0 36.4 33.8 34.5 31.7 32.3 31.7 34.6 36.6 35.6 36.3
皮下脂肪厚                            
 上腕背部   mm 11.5 3.5 5.9 6.0 4.5 5.5 12.0 7.5 11.5 12.0 16.0 13.5
 肩甲骨下縁   mm 9.0 7.0 8.6 7.0 7.5 9.5 9.2 8.0 13.0 14.0 21.5 8.5
 腹部(前)   mm 16.5 4.5 6.9 5.0 5.0 7.0 19.5 12.1 14.5 18.5 23.0 17.5
体脂肪率(推定)   % 13.9 9.3 11.1 10.4 10.0 10.6 16.3 13.3 18.1 20.4 28.2 17.8
[体力項目]                            
握力 <右> kg 39.9 47.1 39.9 35.5 48.7 40.4 29.3 29.1 29.6 33.4 30.4 33.7
<左> kg 36.5 41.4 43.1 34.0 45.1 36.0 25.7 28.3 27.5 30.3 34.3 31.6
<平均> kg 38.2 44.2 41.5 34.8 46.9 38.2 27.5 28.7 28.5 31.8 32.4 32.6
腕力 <右> kg 33.0 39.0 34.0 32.0 35.0 34.0 23.0 28.0 26.0 31.0 21.0 28.0
<左> kg 24.5 31.5 33.5 24.5 27.5 27.5 17.5 22.5 19.0 26.5 25.0 21.7
<平均> kg 28.8 35.3 33.8 25.3 31.3 30.8 20.3 25.3 22.5 28.8 23.0 24.9
脚力 <右> kg 64.5 62.0 44.5 57.0 49.5 63.0 33.0 59.5 40.0 55.5 57.5 41.0
<左> kg 61.0 71.0 47.5 50.5 49.0 55.5 31.0 51.5 36.0 59.0 48.0 46.0
<平均> kg 62.8 66.5 46.0 50.8 49.3 59.3 32.0 55.5 38.0 57.3 52.8 43.5
背筋力   kg 130 166 155 124 146 109 68 115 105 107 120 110
垂直跳   cm 53.0 74.0 67.0 59.0 62.0 58.0 39.0 40.0 51.0 49.0 47.0 57.0
立位体前屈   cm 12.3 639 20.9 19.9 10.3 15.9 25.6 22.8 20.5 20.6 21.2 12.1
最大酸素摂取量   L/分 3.84 3.24 3.58 3.13 3.08 2.59 2.17 1.79 2.20 2.46 2.30 2.50
最大酸素摂取量/体重   ml/kg/分 53.1 54.5 51.7 54.8 48.5 45.8 44.2 39.4 39.1 45.4 38.3 42.4
最大心拍数   拍/分 198 177 200 208 201 195 190   197   182 193

1994年1月13・14日 慶応義塾大学スポーツ医学研究センター

 

昨年度(1993年1月11・12日)にも測定を受けた男子4人(渋谷浩,松下浩二,仲村錦治郎,今枝一郎),女子2人(海津宮美代,佐藤利香)について,基礎体力項目の1年間の変化をみると,男子では背筋力,垂直跳,立位体前屈について4人とも上昇したが,最大酸素摂取量については1人(渋谷)が上昇,3人が低トした。女子では,背筋力が2人とも上昇,垂直跳が海津が上昇,佐藤が低下,立位体前屈が佐藤が上昇,梅津は変化なし,最大酸素摂取量は2人とも低下であった。これらの結果から,かねてから課題であった筋力・パワー面の強化が実を結んできたことがうかがえるが,一方で全身持久力の抵下をともなっているので,この点への対策が今後の課題である。


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