Question 37 :

 心理テストはどのように活用したらよいですか。

 Answer

選手のことを一番知っているのは、選手自身であるということは、誰しもが認めることです。しかし、その選手自身もあまり分析的に自分自身を把握していないようです。

また、監督・コーチ等の指導者は比較的客観的に選手を見ているようでも、かなり主観的な見方をしているものです。この選手の自己評価と指導者の評価が一致することは、ほとんど無いと言っても過言ではないと思います。このギャップの存在を無視して指導が行われた場合は、いろいろな誤解が生じます。この誤解から問題か生じてくるのです。

指導者は「俺がこれだけあの選手のことを、考えて指導してやっているのに、あの選手は全く分かっていない。何という奴なんだ」と思っているだろうし、一方選手は「指導者は何を考えているんだろう、私のことなど何も分かってくれない。こんなに真剣に悩んでいるのに、邪魔ばっかりして」と思っている。

このような誤解の状態が長く続くと選手も指導者もやる気をなくしてしまいかねません。スポーツカウンセラーがいれば、このような問題はスポーツカウンセラーに任せればよいのですが、ほとんどの団体は、スポーツカウンセラーをおける余裕などありません。

このような競技団体においては、指導者がこの誤解を生じさせないための努力を行う必要があります。そのためには、客観的な心理テストを定期的に実施し、選手の心の状態を把握する必要があります。また、自分に甘い選手や自分に非常に厳しい評価をする選手がいるので、選手自身の評価を心理テストを利用して、できるだけ客観的な基準に従って修正する必要があります。もちろん、心理テストは、選手自身の自己評価ですから、指導者の日常の観察結果を踏まえて総合的に評価する必要があります。

才リンピック強化逮手をはじめ、比較的多くの競技選手が利用している心理テストにTSMI(体協競技動機検査)があります。このTSMlは、

  1. 目標への挑戦
  2. 技術向上意欲
  3. 困難の克服
  4. 練習意欲
  5. 冷静な判断
  6. 精神的強靭さ
  7. 闘志
  8. 競技価値観
  9. 計画性
  10. 努力ヘの因果関係
  11. 知的興味
  12. 勝利志向住
  13. コーチ受容
  14. 対コーチ不適応
  15. 失敗不安
  16. 緊張性不安
  17. 不節制

の17の側面を146項目の質問に答えることによって測定できる心理テストです。スポーツ競技に関する心理的な問題点の多くが測定出来るように作られているので、最適の心理テストだと思います。

スポーツ選手の心理的な状態を測定する目的のために作成された心理テストはTSMl以外にも数多くあります。しかし、それぞれの心理テストはそれぞれの目的のために作成されているので、一つの心理テストで全ての側面を測定することは不可能です。何が問題なのかを明確にして、目的にあった心理テストを使用する必要があります。

しかし、スポーツ心理学の専門家でもないかぎり心理テストに関する知識はもち合わせておられないと思いますので、心理テストを使用するにあたってはスポーツ心理学の専門家に相談されることをお勧めします。

以上のように心理テストは有効な道具だと思います。しかし、使用の方法を間違うと取り返しのつかない状況を引き越こす危険な道具でもあります。例えば、心理テストの結果を指導者に説明すると、多くの指導者は、「これで分かった。この選手が試合で負ける原因はこれだ。やっぱり、だめだな。」という類の反応を示します。このような場合は、その選手を駄目な選手であるとラベリングしてしまうことになってしまいます。

心通テストは選手を理解し、長所を伸ばし、欠点を解消するための情報を得るために行うのであって、選手をラベリングするために行うものではありません。

もし、問題だと思われる点が心理テストの結果から明らかになったら、その選手と膝を交えて話し合う必要があると思います。そして、どうすれば良いのかを検討すべきです。真剣に競技に打ち込んでいる選手、指導者であれば、きっと解決策が見えて来ると思います。

もし、良い結果がでたら指導者は選手を誉めることによって選手に自信を持たせるようにすべきです。

 


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