特別寄稿

「世界をとるための7箇条」

荻村伊智朗


(1) 決心
小さな仕事には偶然の好成績が生まれることがあります。しかし、大きな仕事には偶然は期待できません。世界チャンピオンには、それを目指した人しかなれません。日本卓球協会代表選手の競技力向上の目標は世界選手権大会の優勝です。世界選手権大会で優勝する目標をたてること、そのような決心をすることが代表選手の基本条件だといえます。

決心を本当にすれば行動が伴います。優勝するために、あらゆる努力をするようになります。あらゆる努力を積み重ねることが出来ない人は負けることが好きなのです。つい押し流されて、負ける方向の行動や弱い気持ちに走ります。あらゆる努力を惜しまない人は、かつ素質がある人です。

私は、卓球を始めた頃、素質がないからやめた方がいい、といわれました。こんな言葉を浴びせられたら、誰でも精神的ショックを隠せないでしょう。私は、むしろそれによって、卓球を続けることを決心し、それによって素質を与えられたと考えています。大切なのは、まず決心することです。

 

(2) 節制

気力の基は体調です。体調は節制の日々を重ねることによって、自分でも驚くほど良くなります。その好調な体調を基礎にして、体力が向上し、気力も充実します。まず、日常生活を振り返り、体調管理のため次の点を守ることが大切です。

  1. 暴飲暴食をしない。

  2. 食事は、栄養のバランスを考える。

  3. 卓球以外の遊びは、程良いところで切り上げる。

  4. 禁酒、禁煙は当然。

体調に悪いことでもそれを止められない人、ついやってしまう人は気の弱い人です。気の弱い人は、気の強い人に勝てません。

 

(3) トレーニング

卓球のゲームは瞬発力の強い体力を要求します。卓球の世界選手権大会は、持久力・回復力の強い卓球を要求します。この矛盾した体力を一身の中に実現した人が世界のトッププレーヤーです。卓球の動きや技は、0.3秒以内に始まって終わる速さの中で、瞬発的な力の発揮や、絶妙で繊細な巧みさを要求されます。ですから、卓球選手の身体トレー ニングは科学的で斬新的で、トッププレーヤーほど高度で負荷の強いものになります。しかも、独創性を発揮しながら、長続きをして故障のないトレーニングを心がけなければなりません。

 

(4) 勉強・卓球・勉強・卓球

何事も全て卓球に結びつけて興味を持ち卓球に役立てます。「卓球を無くしたら何もない人」と、いわれないように勉強をしましょう。勉強は、毎日の積み重ねが大切です。自分の一番興味を持つ科目でもいいのです。

勉強・卓球・勉強・卓球

 

(5) 創意工夫

人が何かをやろうとするとき、その周囲を見渡してみて、全ての条件がそろっていることはありません。むしろ、ほとんど条件がそろっていないことの方が普通です。特にそうだと思えば間違いありません。世界の競争の中で、勝ち抜いていくためには、不利な条件の中でも工夫してやり遂げる力のある人が有利です。卓球はもっとも複雑で高度な戦術・技術を駆使するスポーツです。創意工夫で個性的な強さを発揮できるあなたのためにあるスポーツです。

 

(6) 両ハンド攻撃に対抗

フォアハンドだけの待ちではなく、バックハンド攻撃での待ちのシステムを持っていること。ただし、フォアハンドの待ちだけでも世界の選手の両ハンド攻撃に対抗できるだけのフットワークと攻撃力が認められればよい。

 

(7) スポーツ科学の導入

物理的練習時間の多さを競うことも意義のあることですが、その豊富な練習量の質を上げれば鬼に金棒です。より効果的な練習方法を取り入れるためには、スポーツ科学の力をを借りよう。このハンドブックは、そのためにある。

 


<目次>

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